矢田部六人衆の処刑(3)
密告者というのは何処にでも居るものである。
内偵もあったであろう。
ほぼ不受不施の僧に間違いないと定め、日課である読経の刻を狙って役人が庵に踏み込み、日閑を捕えたのであった。
その日閑を引き連れ、村道を岡山に向かう目の前に、「儂らも不受不施の信者じゃ、お上人と共に引っくくってくれ!」と五人の男が立ち塞がったのは想定外だったかもしれない。
しかし、役人たちはそれを見逃す訳には行かないので、「お前らも同罪じゃ! 引っくくれ!」と捕えたのであった。
その5人の名前が残っている。河本仁兵衛(32)、河本五兵衛(65)、杉田五郎右衛門(27)、河本喜右衛門(35)、花房七太夫(31)。
「()内は年齢」。
河本五兵衛が長老だと思われるが、何れも一家の大黒柱、そして強信の内信者たちであった。
日閑に追従した5人は数日後、共に岡山城下の旭川川原、京橋付近の処刑場で打ち首になった。
不受不施の僧・信者というだけでこのような仕打ちを受けたのである。
寺報第250号から転載