身延方の弁
身延山は聖地なり、なんぞ無間地獄と謗ずるや。
身延山は日蓮聖人が晩年過ごされた所であり、聖人のお骨も祀られている。
聖地であることに誰も異論を挟む余地はない。
その聖地を「地獄」と謗るとは何たることだ。
池上方の弁
知っての通り、折り紙を破り、日蓮聖人の教えに背くゆえにこれを責める。
さらに、日乾・日遠は共同して「破奥記」を作って世間に広め、不受不施を守る者たちに悪口を言い、これを謗す。
従って、その結果として身延無間地獄という。
原因を作ったのは汝にあり。
不受不施公許の折り紙を無視し、その教えを守らぬ。
更に日奥を批判する書を作り、不受不施を信奉する者たちを謗っている。
その行為の結果として身延は地獄に堕ちたと言うのだ。
身延地獄の原因を作ったのはお前たちだ。
身延方の弁
我らはそんな悪口を言ったこともない。
日奥を批判した書などは知らぬ。
不受不施の者を謗ったこともない。
それは作り話だ。
池上方の弁
それは事実ではない。
たぶらかしだ。
先年、武州川崎いおいて、日遠が直々に日樹に渡した「破奥記」がここにあるのが証拠だ。
そして、その書「破奥記」を皆の前に差し出したのである。
寺報第215号から転載