90年ほど前のインドで、狼に育てられた二人の少女が発見され、イギリスの宣教師によって報告されている。
年上の少女は推定8歳ぐらい、年下の少女は1歳半ぐらいと思われた。
年上の少女に「カマラ」、年下の少女は「アマラ」と名付けられた。
二人は四つ足で歩き、人が手を出すと歯をむき出して飛びかかった。
昼間は壁の方に向いてじっとうずくまっていて、夜になると元気になって戸外を四つ足で走り回り、オオカミのような声を出し、夜中には遠吠えをした。
食物は、ペチャペチャと舐めて食べ、腐った肉をあさったり、ニワトリを殺して食べたりした。
服を着せられる事や、風呂に入ることを極端に嫌った。
人間の言葉は理解できず、3年目にしてようやく牧師のことを「マー」というぐらいであった。
また、二本足で歩くことがあっても、急ぐ時は四つ足になった。
年上の少女カマラは17歳ぐらいで死んでしまった。
アマラは、2ヵ月目にはノドが渇くと「ブー」と言って水を求めた。
カマラに比べると言葉を覚える速度は問題にならないくらい早かったが1年足らずで死んでしまった。
人間が人間らしくなるためには、家庭の中で母親に抱かれ、愛されて母乳を飲み、周囲で話される言葉を聞きながら、次第に人間らしい性格や態度が出来上がってくるという。
「三つ児の魂百まで」ということわざのように、生命を授けられて胎内で大きくなる頃から三つになるまで、できるだけ良い環境を作ることが、その子どもの一生を左右する基になるのであろう。
寺報178号から転載