私たちの現在の状態は、「遺伝・環境・教育」の三つの条件によって作られていると言える。 特に、遺伝の恐ろしさについては、アメリカのゴッダードという学者によって研究されたものがある。 アメリカの独立戦争の時、カリカックという軍人がいた。 彼は、ある居酒屋で知能が余りよくない女性とねんごろになり、一人の子どもをつくった。 この子どもから、約150年間に480人の子孫が生まれた。 正常な人はほんのわずかで、精神薄弱者、アルコール中毒、てんかん、犯罪者、密淫売者、私生児…。 この地方の州政府がこの一族のために使った刑務所の費用、更正のための費用などは莫大なものとなった。 カリカックは故郷に戻って、家柄もよく知能も正常な女性と正式に結婚し、同じく500人ほどの子孫をつくった。 これらの人の中で、他人に迷惑をかける人はほとんどいなかった。 むしろ、医者、弁護士、判事、実業家、軍人などで社会のために尽くした人が多かった。 父親は同じであったが、母親の違いでこんなにも差が生じたのである。 現代の日本について一言述べると、母親になる女性が、タバコは吸う、酒は飲む、セックスも男性顔負けの開放ぶりを見せている。 それに伴って、社会全体が日増しに悪くなっていくことは周知のごとくである。 決して女性だけを責めることが出来ない問題であるが、子孫をつくるため、種イモと畑があるとすると、多少種イモが悪くても畑がよければ何とか救われるが、イモも畑も悪くてはいかんともしがたい。 とにかく自分自身については、今さらどうにもならない。 良くても悪くても、今日生きていられるのは両親あっての事と、むしろ感謝しなければ…。 「眼からウロコが落ちる本」笠巻勝利著から |